日本をはじめ東アジアの国々では、もはや当たり前となっている「マスク」。風邪やインフルエンザの季節、また花粉症の季節だけでなく、1年中マスクをしているという人も多いのではないでしょうか。
そんななか、著者は来日経験のあるイギリス人から「日本人はなぜ公共の場でマスクをするのか?」とよく聞かれることがあります。実は、欧米ではマスクをつける習慣がなく、彼らにとって、日本人のマスク姿が「不可解」なものに感じられるようです。
日本で一般的に使用されているタイプのマスクは、英語で「Surgical Mask(外科手術用のマスク)」と呼ばれており、欧米人はマスクをしている人を見ると「何か重病を抱えているのに病院から飛び出して来た人」のように見えてしまうんだとか。
今回は、そんな「マスク」を巡る文化の意外な違いをご紹介したいと思います。
欧米人にとってマスクをしている人は怖い!?

まさかこんなイメージ!? 旅先で怖がらせてしまうのは避けたいところ…。
欧米では、「マスク」を病院以外で目にすることがないため(殆どのドラッグストアでも販売されていません)、街中でマスクをしている人を見かけると「手術中に外に出て来てしまったお医者さん」、または「なにやら大変な重病を抱えている人が外を歩き回っている」という印象を受け、警戒心を抱いてしまうそうです。
また、マスクなどで顔を隠す行為は、強盗などの犯罪者を連想させ、人々に恐怖心すら与える可能性もあると言われているため、マスクをする行為自体がタブー視されているところがあるようです。
なぜ欧米ではマスクをしている人がいないのか?
イギリスでは、日本のような激しい花粉症の季節がないうえ、なんと「マスクをすることによって風邪を予防できる」という考えが一般的ではありません。なぜなら、そこに「科学的(医学的)根拠はない」と考えられているからです。
インフルエンザなど、何らかのウィルスに感染している人がマスクをすることによって、咳やくしゃみなどの飛沫が飛び散るのをある程度防ぐことは可能だと言われています。ところが、マスクを使用することで感染を「予防」することはほぼ不可能だと考えられています。
そんななか、WHOが「マスクの正しい使い方」を発表していますが、その内容が「口の周りや鼻の周りとマスクの間に隙間を作らないこと」、「マスクをしている間は、絶対に手でマスクに触れないこと」、「マスクを取ったらすぐに手を洗うこと」、「マスクが湿ってきたら、すぐに新しいマスクに代えること」、「一度使用したマスクはすぐに捨てること」となかなか難易度が高いものになっています。
これが一つでも守られない場合、マスクの効果は格段に落ちると言われており、イギリスのお医者さんたちは「マスクをするよりも手洗いをきちんと行う方がウィルス感染を防ぐ効果が高い」とアドバイスしています。
マスクに対する文化の違いを受け入れる
アジアに在住経験のある著者のイギリス人の友人は、アジア人がマスクをすることについて「医学的根拠の薄いものを過信しすぎている」と疑問に感じることもあるといいます。
しかし、アジアの国では「明らかに風邪をひいているのに、電車の中でくしゃみや咳をしながら手で覆わない人も多い」と明かしており、風邪をひいている人がマスクをするのは賛成だと感じているようです。
また著者は、飛行機内での喉の乾燥を防ぐために日本で購入したマスクをすることが多いのですが、隣の席の人や客室乗務員さんを怖がらせないため(笑)、マスクの着用は(比較的マスクをする日本人に慣れていると思われる)日本とイギリスを行き来するフライト中に限っています。
できれば、イギリスとアメリカ間のフライトでもマスクを着用したいと思っているのですが、理解を得られるかどうかがなかなか難しいところなので、迷ってしまいますね(苦笑)!