日本だけに限らず、「どの国にも他の国より秀でた得意分野」はあります。日本には他の国にはない良さが、イギリスには日本にはない良さが、イタリアには日本やイギリスにはない良さがあると思います。イギリスに長年暮らし、また様々な国へ旅に出てみて著者が感じたことは、各国それぞれ物事に対する優先順位は違えど、(先進国と言われる国であれば)生活の質は基本的に日本とほとんど変わらないということです。
そんななか、日本には「四季」と「おもてなし」という文化があることで知られていますが、実は海外にもあるんです。今回は、なぜ日本の人々がこれらを日本独特のものだと考えるようになったのか、また世界が着目している日本独特の文化とは何かを検証してみたいと思います。
「…アメリカにも四季はあるよ」と困惑する人も

アメリカ合衆国中西部ウィスコンシン州議会議事堂の花壇も春になるとチューリップなどの花々が咲きます。
以前、ある日本人がアメリカ人に対して「日本には四季があります」と説明していたのを聞いたことがあります。それを聞いたアメリカ人は「…アメリカにも四季はあるよ」と困惑気味に答えていました。もちろん、年がら年中天気が悪いと揶揄されるイギリスにも「四季」はあります。おそらく、シンガポールなど赤道直下に位置する国以外の場所のほとんどに「四季」はあるのではないでしょうか。
イギリスの「四季」の感じ方

カラフルな花が咲き乱れる春の世界遺産の王立植物園「キューガーデン」パームハウス前。(Gaid Kornsilapa / Shutterstock.com)
イギリスでは、たくさんの花が咲き乱れ蜜蜂が飛び始めると「春だな〜」と思うようになりますし、夜の10時くらいまで日が長くなり、眩しい太陽とカラっとした暑さを感じるようになると「夏」を感じます。肌寒くなり木の葉が美しく色づき始め、天気が悪くなってくると(苦笑)「秋」の訪れを実感し、すっかり日も短くなり、寒さと暗さに耐えしのぶ日々が始まると「冬」を覚悟するようになる…。このように、私が住むイギリスにもちゃんとした「四季」はあるのです。
日本スタイルの「四季」や「おもてなし」に注目
オリンピック招致で滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」が話題となり、日本では「おもてなし」が日本独特の習慣であるかのように印象付けられましたが、英語にも「Hospitality(おもてなし)」という言葉があり、欧米でも「おもてなし」の習慣は存在しています。
もちろん、日本に旅行経験のある外国人の間では日本人の「おもてなし」力は評判となっています。日本では高級店でなくても丁寧で礼儀正しい接客を受けられますし、店員さんによる美しいラッピングや時間に正確な電車など、日本人ならではのHospitalityがあることは確かです。
また、「四季」に関しても、お花見が国民の一大イベントであるのに加えて、季節の変わり目には衣替えを行ったり、俳句に必ず季語を入れたりと、日本では生活の中に季節を取り入れる習慣が多いと思います。「四季」自体は日本だけのものではないにせよ、「四季」に対する日本人の意識というものは独特であると言っても良いかもしれませんね。
世界が注目する日本独特の「生きがい」とは?

日本人の「Ikigai(生きがい)」が見える化されています。
デンマーク発の習慣として世界でも話題になった「ヒュッゲ」というライフスタイル。デンマーク人独特の「心地よい時間の過ごし方」やそこから生まれる「幸福感」などが忙しい現代人に必要とされ、イギリスでもブームになりました。
そんななか、新たにイギリスで注目を集めているのが、日本発の「Ikigai(生きがい)」という考え方。イギリスでは、日本の過酷な労働環境の中で、日本人がいかにして人生の意味を見出し、長寿を達成しているかが分析されており、「生きがい(目標や目的)」を持つことでライフスタイルを向上させようという動きがあります。日本発のコンセプトだけに、海外の人にも「生きがい」について上手に説明できるようにしておいたほうが良さそうですね!