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【日本の伝統模様 vol.11】渦模様

「麻の葉」、「七宝(しっぽう)」、「籠目(かごめ)」、「千鳥」……。

いつだったか、どこかで聞いたことのあるこれらの名前は、私たち日本人になじみの深いもの。日本に古くからある伝統模様の名前です。ひとことで「模様」といっても、その背景にある歴史や意味は奥深く、縁起もさまざま

そんな日本の伝統模様のなかから、今回は「渦」をご紹介しましょう!

「渦模様」の由来と縁起

円や弧がたくさんあつまって出来ている渦は、とても原始的な模様です。螺旋を描く巻貝や植物のツタ、蝶の触角、海や川に現れる水の渦などからインスピレーションをうけたのでしょう、古代の人間が壁画や土器に描いてきました。
見ていると吸い込まれそうになる「渦」は、永遠やパワーをイメージする模様として使われてきました。

【日本の伝統模様 vol.11】渦模様の画像1

巻貝の渦は立体的。

【日本の伝統模様 vol.11】渦模様の画像2

水面に水滴が落ちると波紋が広がる様子は幻想的。

【日本の伝統模様 vol.11】渦模様の画像3

つたや多くの植物が渦を巻きながら伸びていく様子も神秘的に映ったからこそたくさんのモチーフになったのでしょう。

日本でも、縄文式土器にたくさんの渦を見ることができます。弥生時代、祭祀に使われたとされる銅鐸にも渦巻き模様が見られます。
英語ではスパイラル、またはボルテックス。スピリチュアルな業界では、エネルギーの根源という意味でボルテックスという表現を使っています。

世界の渦巻

【日本の伝統模様 vol.11】渦模様の画像4

3つの渦を組み合わせたトリケリスはケルトでも伝統的な文様の一つ。

日本から遠く、アイルランド地方に発症したケルト文化にも、渦模様があります。中でも有名なのは、3つの渦巻が合わさっているトリスケル。3本の脚が根元で合わさって走っているように見える三脚巴(さんきゃくどもえ)のデザインの元になったとされています。三脚巴はNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』のビジュアルでも話題となりました。

【日本の伝統模様 vol.11】渦模様の画像5

シチリアの三脚巴紋。

三脚巴は現在でもフランス・ブルターニュ、マン島、シチリアでシンボルとして使われています。
ギリシャやクレタ島のミノア文明の遺跡にも、渦が多用されています。

波と渦

【日本の伝統模様 vol.11】渦模様の画像6

歌川広重『六十余州名所図書会 阿波 鳴門の風波』(パブリック・ドメイン)

海に囲まれている日本。巻き込むように打ち寄せる波や、渦潮をモチーフにしたアートがたくさんあります。中でも、印象的なのが浮世絵の渦。渦巻く波と、その波と波とがぶつかって作り出す渦潮が力強く描かれた、歌川広重の「阿波 鳴門の風波」は傑作です。

渦巻小紋

【日本の伝統模様 vol.11】渦模様の画像7

小さい紋様が地に敷き詰められたような模様を小紋といいます。小紋の種類はいろいろですが、渦巻小紋はとてもポピュラーです。
着物生地や風呂敷などの布地にはもちろん、陶器や磁器にも描かれ、現代の生活の中にでも多く目にする模様です。
渦巻小紋は、遠目では無地に見えますが、近づくほどの小さなドットが把握でき、さらに近寄ると渦巻がわかるというとても凝った模様です。

江戸時代の歌舞伎役者・市村亀蔵が舞台衣装として着た亀蔵小紋も、渦巻小紋のひとつ。
粋な模様だとして流行し、名をそのまま「亀蔵小紋」の名となりました。

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