世界には国、地域、民族、宗教などに由来する、たくさんのお守りがあります。多くは幸運のお守りで、金運や恋愛などに特化したお守りも見られます。
そのなかでも、このシリーズでは「魔除け」としての働きが大きいアイテムやノウハウを、ピックアップ! 目に見えない悪を退ける、さまざまな魔除けたちをご紹介します◎
今回は日本の端午の節句をピックアップ。5月5日の子どもの日で特に男の子のお祭りとされていますが、雛祭りと同様、子どもを魔から守る行事でもあったのです。
●節句って? 端午って?
節句とは、季節の変わり目に行う年中行事のこと。3月3日や5月5日などが節句となっています。
「端午(たんご)」は、5月に入って最初の午(うま)の日のこと。1000年以上前、稲荷神社創建の縁起と午の日に関連があったことから、ご利益のある日となりました。それに、午(ご)が五(ご)に通じるとか、陽の数字である奇数が重なる月日が重要だとかが加わり、5月5日が端午の節句として定着しました。
●魔除けの菖蒲(しょうぶ)湯
端午の節句といえば、菖蒲湯。寒さが残っていた春ではなく、夏のはじまりを予感させるこの時期、昔は伝染病が多く発生し、亡くなる人も多数出たと言います。
5月は「毒月」と呼ばれ、恐れられていました。病魔を払うために、ニオイの強い菖蒲やヨモギを飾ったり、お酒に浸して飲んだりしたのです。現在では、菖蒲の葉をお風呂に入れて、病魔退散を祈ります。
●粽(ちまき)と吹き流し
紀元前の中国に、王様の側近で民からもよく慕われていた屈原という人物がいました。しかし、陰謀により、川に身を投げる羽目に。屈原を悼んだ人々は、邪龍に取られないように、葉でモチ米をくるみ魔除けの5色の糸で縛って、川に流したといいます。屈原の命日は5月5日でした。この5色の糸が、吹き流しの元になったと言われています。
●鎧兜&刀と柏餅
江戸時代に入り、菖蒲が勝負や尚武に通じるということで、5月5日は武家で盛んに祝われるようになりました。お家大事なこの時代、家の後継ぎとして生れた男の子が、無事成長し、一族が繁栄するのが何よりの願いでした。
武士と言えば、鎧兜に刀。それらやそれらを身につけた武者人形には、男の子に降りかかる災厄を代わりに受けてほしいとの思いも込められています。
また、柏は新芽が出るまで古い葉が落ちない樹木で、子孫が出来るというイメージそのもの。柏手の形にも似ていると、柏餅は縁起ものとして食べられるようになりました。
●鯉のぼりは?

『名所江戸百景 水道橋駿河台』歌川広重(パブリック・ドメイン)
鯉のぼりは、鯉だけが滝を昇りきって龍になったという中国の古い逸話に由来しています。龍は全てを治める最強の霊獣。中国では、鯉は龍の化身で、「登竜門」という言葉はこの逸話から生まれたそうです。男の子が家を盛り立て、力強く出世していってほしいという願いが込められたのでしょう。