日本から海外に長期滞在することになると、何度か洗濯をするという機会があると思います。そんななかで、日本人の多くがはじめに戸惑うのが海外の洗濯機の温水設定 だと言われています。最近は日本でもドラム式の洗濯機が普及しはじめていますが、縦型式で常温(冷水)洗濯が常識と言われる日本からやってくると、海外では一般的となっている「お湯」での洗濯法はかなりのカルチャーショックだそう。
お湯での洗濯は色落ちする場合があるため、色を分けて(主に濃い色と薄い色)洗濯する必要があります。日本人にとっては、これが「面倒」に感じられることも多いとか。
そもそも、海外ではなぜ温水洗濯が主流なのでしょうか? 今回はその裏事情をご紹介したいと思います。
なぜ海外では温水洗濯が常識なのか?
海外で温水洗濯が一般的なのは、やはり温水で洗濯することによるメリットが大きいからだと言われています。著者の住むイギリスでは、衣類や下着などの洗濯は洗濯機で30℃~ 50℃の温度設定が一般的。温水は、常温(冷水)よりも衣類についた皮脂や油汚れを溶かす効果があるので、洗浄力が高くなるほか、雑菌の増殖を抑える効果があります。低温で洗濯した場合、洗濯した後でも雑菌は残りやすいと言われています。なかでも、生乾き臭が残るのは雑菌の増殖が原因だと考えられているそう。
一方で、洗濯機で使用するお湯の温度が50℃を越えることで、高温に弱い雑菌の除菌が可能になるとか。特に雑菌の温床になりやすいタオルなどは、イギリスや欧米では雑菌除去のために最低でも60℃の温水で洗濯することが常識になっていると言います(海外の洗濯機には90℃までの設定温度があります)。汚れや雑菌の除去のためには、温水の洗濯が高い効果を発揮するようですね。
温水洗濯のデメリットとは?
温水で洗濯をすると温水の温度によっては、衣類などが色移りしやすくなり、色落ちも起こりやすくなります。したがって、温水で洗濯をすることが一般的な海外では、色物のアイテムを分けて洗う必要があります。また、50℃以上の温度で洗うと、劣化してしまう生地もありますので、アイテムの洗濯表示よく見て温度設定を行う必要があります。
イギリス在住の著者は、洗濯表示が30℃または40℃以下になっている場合は手洗いをするようにしています。また、劣化しやすい生地のアイテムの場合は洗濯機のデリケート設定(絹用など)を選択するなど、「洗いわけ」を心がけるようにしています。
日本はなぜ常温で洗濯するようになったのか
日本の洗濯機が常温(冷水)を使用するワケは諸説あるようですが、日本は電圧が100~110Vと低く、水をお湯するのに時間がかかると言われています。また、時間がかかることで光熱費の値段がそれだけ高くなってしまうため、温水洗濯の需要が低いと考えられているようです。
さらに、日本人は海外の人(週に1回が一般的)よりも頻繁に洗濯をする傾向があり、温水で洗濯をすると経済的ではないことが理由の一つかもしれません。
所変われば、洗濯方法もその常識も変わる。文化の違いが、基本的な生活習慣にも現れるというのは面白いですね。