日本在住、または日本に旅行に来たことのある(特に欧米系の)外国人のあいだで時々話題に出るという「日本の公共交通機関での空席問題」。日本人にはあまり馴染みのない話題であり、著者も実際に外国人に言及されるまでは特別に意識することもありませんでした。「空席問題」とは、いったいどういうことなのでしょうか?

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それは、日本に来た外国人がかなりの確率で経験すると言われている「(電車などで)隣が空席になる」という現象です。外国人の少ない郊外ならまだしも、東京などの都市部では珍しいのではないかと考えていたのですが、東京でも外国人の隣が空席になることは少なくないそう。ちなみに著者のイギリス人の夫も東京で何度か経験があるそうです。
なぜ外国人の隣に座りたがらない日本人がいるのか。今回はその謎に迫ってみたいと思います。
外国人の隣が空席になるのはどうして?

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電車の中で外国人の隣が空席になってしまう現象は、欧米系の方が多く経験しているようです。実際に経験したことのある著者の夫の話によると、電車の車両に乗り込んで来た日本人は、まず空席をめがけて歩いてくるそうですが、その席の隣に座っている夫の姿を見ると、他に空席がないかチラっと周囲を確認することが多いそうです。他にも空席があった場合はそちらへ移動する傾向があり、ない場合は夫の隣にそのまま座る人もいると言います。電車が満員の場合は起こりにくい現象なのかもしれませんが、あくまで夫の隣に座ることは最終手段であるようです(苦笑)。こういった経験は夫だけがしているわけではないそうで、来日経験のある欧米系の外国人からも何度か耳にしたことがあります。そんな場面に遭遇した外国人は、恐らく「嫌われている?」「差別されている?」と言うネガティブな気持ちになることがあるかもしれません。
知らないものに対する「恐れ」が原因?

ロンドン市内の信号待ちのワンシーンを切り取っても様々な人種が共存していることがわかります(Elena Rostunova / Shutterstock.com)
こういった現象は「人種差別」とまでは言わないまでも、日本人の一部が外国人(欧米人)を警戒する心理的な作用が働いているのかもしれません。
著者自身も、海外で暮らし(イギリスでは)人種的マイノリティーの一人なので、常に「人種差別」を受けるリスクがないわけではありません。イギリスで暮らし始めて11年になりますが、比較的多様な人々が集まる街に住んでいることもあって、今のところ「差別」と感じる経験はありません。
また、ロンドンやニューヨーク、パリなどの都市でも電車などで隣が空席になるという経験は皆無です。こういった国際的な都市では、様々な人種が混在しているため、お互いに慣れているのか、あるいは一定の人種をいちいち「避ける」方が逆に困難だからとも言えるでしょう。
ただ、著者の2歳半のイギリス人の義理の姪は、同じイギリス人の夫には懐いていますが、私を怖がっているようです(苦笑)。見慣れないもの、よく知らないものに対して「怖い」と思ったり「近づきたくない」と警戒心を抱くのは、子供の時から持っている意識なのかもしれません。
多様性の少ない東京や日本の都市

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最近では東京をはじめ日本の各地も海外からの観光客が増えましたが、著者の夫は東京を訪れるたびに「電車の車両の中で、欧米人は自分一人だけ」という経験をすることがほとんどで、世界の国際的な都市とは異なる独特な雰囲気に少々圧倒されることもあるとか。
実際に日本における外国人の人口は全体の2%しかおらず、外国人が依然として「物珍しい」存在になっていることは確かです。「未知との遭遇」に思わず警戒心を抱いてしまう人がいるとは思いますが、電車で隣り合わせになる外国人はいたって「普通の人」ですので怖がる必要はないと思いますよ!