国や文化が違えば、冠婚葬祭のしきたりやルールも異なります。冠婚葬祭は、まさにそれぞれの国の伝統が反映された儀式でもあるので、その違いを知るのはとても興味深いものです。
特にお葬式に出席することは、とても悲しいことですし、何よりも故人を忍び尊重したい思いもありますので、しきたりやルールなどで失敗したくないという緊張感が生まれます。
今回は、日本とはちょっと違うそんなイギリスのお葬式の行程やルールについてご紹介したいと思います。
イギリス人はお葬式で涙を見せない?

Paolo Paradiso / Shutterstock.com
イギリスでは、死後10日ほどだってからお葬式が行われます。著者がはじめてイギリスでお葬式を経験したのは義理の母のお葬式でしたが、なかでも一番驚いたのは、列席者が誰一人涙を見せなかったことです。義母は長い間闘病生活をしていましたし、家族にももちろん覚悟はあったでしょう。亡くなったときは、皆泣きましたし、その悲しみは私も誰よりも理解しているつもりです。しかし、イギリス人は葬儀に限らず、どんなシチュエーションにおいてもポーカーフェイスをつとめる傾向があります。感情を面に出すことを嫌う事もあり、人前で涙を見せることをためらうことがあるようです。また、イギリス人の生死観の違いもあるのかもしれませんが、イギリスのお葬式で涙を見せる人はほとんどいないと言われています。
ドレスコードはほとんどない
日本では、葬儀に出席する際、喪服や身に付けるものにも気を使うことが多いと思いますが、イギリスではお葬式での決まったドレスコードがないと言われています。私自身、喪主家族の一員でしたので喪服に関しては様々なイギリス人に相談したのですが、驚いたことに「黒い服を着る必要はない」と言われました。葬儀の列席者たちも、ボルドーカラーやグリーンカラーなどのシンプルなワンピースやジャケットなどを着用しており、比較的カジュアルな装いの方が多かったようです。
お葬式にかかる費用はいくら?
イギリスでは、結婚式でもご祝儀などがないように、お葬式でもお香典など現金を送る習慣はありません。お葬式並びに、その後に続く食事会なども全て喪主が負担します。BBCが行った調査によると、イギリスのお葬式は平均して50万円〜100万円ほどかかると言われています。
イギリスのお葬式の流れ
イギリスでは日本のようにお通夜などを行う風習はなく、告別式にあたる式のみが行われます。お葬式では、牧師さんのお話、親族のスピーチがあり、30分ほどで終了します。お葬式ではすでに棺が閉まっているので、故人の顔を見ることはできません。つまり、亡くなった時に立ち会うことができなければ、もう亡くなった人の顔を見ることはできないのです。お葬式の後には、近くのパプやレストランを貸し切って食事会が行われ、出席者たちが故人の思い出を語り合います。しきたりやルールは違えど、親族や友人たちが集まって故人を偲ぶ気持ちは、日本と変わらないものですね。