イギリスで暮らし始めて驚いたことの一つが、イギリス人の朝が早いこと。労働者たちの始動時間も早く、朝の7時半に近所の道路工事の音で目が覚めるなんていうこともしばしば。通常朝が早いカフェなどの軽食店を除いても、朝の8時に開店するお店も多く、朝早くから街全体が活気付いていきます。朝が早い代わりに午後の5時や6時に閉店するお店が多いことを考えると、イギリスの労働時間は基本的に「朝早く出勤し、夕方の早めに帰る」という「働き方」が主流になっているようです。
最近では日本でも、「働き方改革」のなかで残業時間の抑制対策としてノー残業デーや在宅勤務などとともに「朝型勤務」が推進されるようになっていると言われています。
今回は、そんなイギリス人が実践している「朝型勤務」とのそ生活スタイルについて解明していきたいと思います。
どれだけ違う?日本とイギリスの始業時間

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経済産業研究所の武石恵美子氏が2011年に行った研究調査によると、イギリスやドイツでは、朝6時台や、7時台といった早い時間帯で始業する割合が日本よりも高いことが分かったそうです。また、ドイツにいたっては5割近い従業員が朝8時よりも前に仕事を開始していることが分かっています。
イギリスやドイツでは、始業時間の早さに伴って、終業時間も早まる傾向があります。調査では午後5時前までに帰る人が、イギリスでは36.7%、ドイツでは51.1%となっており、一方で日本は3.7%にとどまっています。
日本人には合わない?「朝型勤務」体制
「早く帰れる」ことが利点の朝型勤務ですが、「働き方改革」の一環として日本でも奨励されながら、ほとんど定着していないのはなぜなのでしょうか。日本では「朝型勤務」に対する否定的な見方も多く、なかなか実践することが難しいと言われています。なかでも「早朝の交通手段がない」や「通勤時間が長い」と言う意見や「夜の付き合いがあるのに、朝早く起きるのでは睡眠不足になってしまう」と言う意見、また「サービス残業が朝に移動するだけ」といった懸念もあり、日本人のライフスタイルに合わないと言う見方もあるようです。
また、日本ではサービス残業をはじめ、裁量労働など労働時間管理が厳格に行われていないこともあり、朝早くから仕事を始めたとしても、早く終わらせることができるとは限らないことも指摘されています。
睡眠時間は少なめ?イギリス人のライフスタイル
朝型傾向が強いイギリス人は、やはりやや早寝の習慣があるようです。イギリス人の平均的な就寝時刻が午後22時40分と言われている一方、日本の平均就寝時刻は23時台となっており、日本人はイギリス人より比較的遅めと言えるでしょう。
しかし、イギリスの大手ホテルチェーンのトラベルロッジが行った調査によると、イギリス人の平均睡眠時間は6時間41分となっており、なんと平均7時間40分ほどだと言われている日本人よりも短い結果に。やはり、何かと忙しい現代社会において、朝型勤務であっても睡眠時間が削られてしまうのは避けられない事態なのかもしれません。