日本の大学を卒業後、アメリカの短大でホスピタリティを学び、現在はアジアの航空会社でキャビンアテンダント(CA、客室乗務員)としてお仕事中の筆者が、日々のフライトで経験した、CAならではのウラ話をお届けしていきます◎
どんな仕事であれ、大変な事はありますし、自分の思うようにならない事もあると思います。自分は一生懸命やっているのに、なぜかうまくいかない、周りの協力が得られない、、、などモヤモヤする事もあります。それでも、仕事は仕事ですし、我慢してこなすしかありません。
社会人になると文句も言わず、泣き言も言わず、というのが理想ですが、今回は、恥ずかしながら筆者が仕事中泣いてしまったエピソードを紹介致します。笑
今ならまだまだ若かったな〜と笑えますが、あの頃は必死でした。
出発直前に怒り出した日本人のお客様

この日のフライトは満席のフライトでした。搭乗がほぼ終わった頃に、あるお客様が私の所に別のお客さんの苦情を言いに来ていました。その方は日本人のおじさんで、隣のお客さんはインド人の赤ちゃん連れの女性でした。日本人のおじさんは、「インド人の女性が私の席に赤ちゃんを置いている」と訴えていました。
ですので、私はインド人の女性に赤ちゃんは膝の上で抱っこして下さいとお伝えして、日本人のおじさんにお席に戻って頂くようお願いしました。
が、その日本人のお客さんは「座席に戻らない!その席には戻りたくない!」と言うのです。赤ちゃんはもうお母さんの膝の上ですし、苦情を言う理由もないのですが、「戻らない!他の通路側の席を探せ!」の一点張りです。
他に空いている通路側の席はなく、飛行機はもう出発する直前で、私は責任者からお客さんに席に着いて貰うよう言いなさいと急かされました。しかし、お客さんは絶対に戻りません。とりあえず、責任者の許可を得て、他の座席を用意するまでビジネスクラスに座って頂く事になりました。
意味のわからないクレーム!協力してくれない上司!

飛行機が離陸して、他のお客様にご協力頂き席を変わってもらい、やっと別の通路側のお座席を用意できました。が、今度はそのお客様、「元々の席と同じ列の通路側でないとダメだ!」と言うのです!!
お客様の元々のお座席は35Cだとすると、ご用意できたのは45Dの席です。お客様が欲しい席はC列の席だと言うのです!Cの座席もDの座席も通路側という事は変わりありません。強いて違うと言えば、右利きと左利きの方を考えると多少違いがあるかもしれませんが、普通なら違いはありません。。。
そう思いつつも、また別のお客様にご協力頂き、ついにC列の座席が用意できました!やっとお客様に戻って頂こうと思ったら、お客様は断固拒否です!私はもう驚き、意味が分からず、困り果てていました。
副責任者が機内アップグレードの係なのですが、彼は「お客様に早くエコノミーに戻って頂くかアップグレード代を払って貰いなさい!」と言うだけで、私と一緒にお客様の所にお話をしに行く事もせず、問題を私に押し付けてきます。
困った私は、責任者に相談すると、「機内アップグレードの件は副責任者の仕事だから。」と全く取り合ってくれず。。。。
お客様は動いてくださらない、責任者も副責任者も全く協力してくれない。正に八方塞がりの状態でした。
泣きながら機長に直談判

当時の私が最後の手段として思いついたのは、機長に相談してお客様をビジネスクラスに座って頂く許可を貰うことでした。
機長に機内のインターフォンで電話をして、お客様、責任者、副責任者それぞれのやり取りを説明していたのですが、どうしたらいいのか分からず、また必死になり過ぎて、いつのまにか泣きながら説明していました。新人外国人乗務員が泣きながら電話してきた事に機長もビックリして、OKと言うしかなかったようでした。笑
機長がOKを出したら、責任者も副責任者も何ももう言えません。
その後、結局お客様はビジネスクラスに座ったまま目的地に着いたのでした。
今ならもっと上手くやれたかも?

無事なんとかフライトは終了したものの、この手段は決していい方法ではありません。今であれば、もっと強くお客様に説明してエコノミークラスに戻って頂くなり、責任者を無理矢理でも連れて行くなり、他の乗務員にも来て貰うなり、もっといい方法が思いついたと思います。しかし、この時はまだ新人の私はもう許容範囲を超えていたようでした。笑
また、この時は責任感のない上司を持つと大変だなと実感しました。責任者も副責任者も全く協力してくれず、本当にアンラッキーなフライトでした。それでも、心は強く!社会人として泣かずに対応したかったものです。。。笑