すでに来年が待ち遠しい架空映画館支配人、ヴァニラ・ノブです。
新旧・内外・ジャンルも問わず、オススメの映画をゲイ目線で取り上げてご紹介させていただいてます。
今回の上映作品は、2016年に公開された3DCGアニメ「ソーセージ・パーティー」です。
◎「ソーセージ・パーティー」のおすすめポイント
■ 可愛いキャラクターに騙されちゃいけないわよ
■ 豪華キャストが下ネタ全開で声を担当
■ わかりやすい多様性を見せてくれるわ
◎気になるあらすじは……
人がいない時におもちゃが話し、動き、大冒険する「トイ・ストーリー」もシリーズ4作目がまもなく公開されますが、擬人化は何もおもちゃの世界だけじゃないのよとばかり、スーパーマーケットで売られている食品たちも話し、動き、大冒険し、おまけにエッチまでしてしまうのが本作なの。
郊外にあるごく一般的な大型スーパーマーケット”ショップウェル”。
そこで陳列されてる食材たちは開店と同時に選ばれ、買われることを夢見て歌いながら日々過ごし、一喜一憂してる。
人間に購入されることで、彼らは外の世界の「楽園」で幸せに暮らせるはずだと信じてる。
そんなある日、ソーセージのフランクは、ホットドッグ用のパンで、恋人のブレンダと共に買われるのを待っていると、とうとう選ばれることに。やったーとうとうブレンダと結ばれてホットドッグになれる! と喜んだのもつかの間、彼らを乗せたカートにアクシデントが発生、スーパーマーケットに取り残され、離れ離れに。そして、そのアクシデントがきっかけで負傷したビデ洗浄機がフランクたちを逆恨みし、つけ狙うことになったから、さあ大変。さらに、実は外の世界は「楽園」ではないことを知ったフランクたちは人間たちとも戦うことになるって話。
◎「チンコ」「ウンコ」が似合う大人になりなさい
可愛いソーセージのキャラクターに騙されちゃいけないわ、とにかく下ネタのオンパレードで、アタシ的には最高。
昔、「チンコとかウンコって言ってるのが似合う大人になりたい」ってある芸人さんが言ってたんだけど、その言葉にアタシ、ものすごい共感して、今だにチンコだのウンコだの言ってて、アタシなりにその言葉の域まで達してるって“勝手に”思ってるんだけど(ただし周りからの目は置いといて・・・)。
だから時折、テレビや映画、ネットなんかでアメリカのスタンダップや、コメディアン出身の俳優がガンガン直球のド下ネタをぶっこんでるのを見聞きした時にとても惹かれるのよね。子どもの「チンコやウンコ」は悪意はないけれど、いい歳した大人の「チンコやウンコ」には決意があるものね。
◎キャスティングがすでにMADよねえ
だからこそ3DCGアニメでこれだけバカバカしい映画をつくってしまった(といってもかなりの風刺と問題が散りばめられてるけれど)、脚本と製作と主演の声を担当したセス・ローゲンをはじめとしたスタッフとキャストを尊敬しちゃう。

2017年のアカデミー賞でのセス・ローゲン(Featureflash Photo Agency / Shutterstock.com)
セス・ローゲンと言えば、タイトル通りの話「40歳の童貞男」や、童貞高校生が初体験を目指す「スーパーバッド 童貞ウォーズ」などを大ヒットさせ、ちょっとホモソーシャル漂う男同士の友情を描いたブロマンス・コメディを確立させたプロデューサーであり、映画監督、脚本家のジャド・アパトー組の若頭的存在。
そんな彼が、これまでアパトー作品で共演してきた気の会うメンバーに声をかけてキャスティング。

ヒロインはホットドッグ用パンのブレンダ役、クリスティン・ウィグ(Kathy Hutchins / Shutterstock.com)
ヒロインでホットドッグ用パンのブレンダ役には、花嫁介添人たちの下ネタドタバタコメディ「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」(今作も後日、このコラムで取り上げるわね)のクリスティン・ウィグだし、「ジャンゴ」や「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」など最近はシリアスな役も目立つジョナ・ヒル、そして「JUNO/ジュノ」やカルトで名作の「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」などの永遠に童貞顔のマイケル・セラに「スパイダーマン」シリーズや「ミルク」などで、セクハラ俳優とも揶揄されたジェームズ・フランコ。

ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームでスピーチをするポール・ラッド(Featureflash Photo Agency / Shutterstock.com)
「IT」の続編も控えてるビル・ヘイダー、「アントマン」シリーズをはじめとしたマーベルユニバースシリーズのポール・ラッド、「デスペラード」や「ワイルド・ワイルド・ウエスト」、「フリーダ」の苦労人ラティーノ女優、サルマ・ハエック、「ファイト・クラブ」や「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」「アリータ: バトル・エンジェル」の、大阪にも一時住んでたエドワート・ノートンなど豪華キャストが、それぞれクセの塊で下ネタがっつり入ったキャラクターを嬉々として演じてるわ!
◎MADじゃない部分を探すのも大変よ

タコスの皮テレサ役、サルマ・ハック(magicinfoto / Shutterstock.com)
特に、サルマ・ハエック演じるタコスの皮・テレサは、ブレンダにメロメロになる情熱的なレズビアンというキャラ。彼女を見初めたからこそ危機から救うんだけど、ちょいちょい「愛しいパンちゃんレロレロしたい」的なエロセリフを放ちながら舌をペロペロさせているし、ベーグル役のエドワード・ノートンは、形状から最後にあっというキャラってわかるし、ヤク中人間キャラのジェームズ・フランコはどうしようもないしで、みんなパーティーしながら録音したんじゃないかしらと思うほど。
そして、これらのキャラクターの中で悪役として立ちはだかるのが膣洗浄器! ごめんなさいね、アタシ、20年以上生き過ぎてきてこれまで携帯用膣洗浄器って見たことがなかったから全然ピンとこなかったんだけど、あんな形してるのね。それがどんどん邪悪になっていくのがすごいし、膣洗浄器なんだけど男性という設定なのもひねくれていて笑える。しかも邪悪になっていく要因が、ただただ女性のアソコを洗いたいというだけという。ある意味セクハラの権化みたいな存在。こういった擬人化が絶妙なので、そこも注目してほしいわ。
そして、ラストはいい意味でも悪い意味でも多様性を表してて悪趣味な愛おしさを抱くはず。
◎いろいろ想像しちゃうのよ

アカデミー賞、グラミー賞、トニー賞など、様々な受賞経験を誇るアラン・メンケン(s_bukley / Shutterstock.com)
ちなみに、映画の中で歌われる曲をつくったのは「リトル・マーメイド」や「美女と野獣」「アラジン」「塔の上のラプンツェル」などのアラン・メンケン! キャリアにキズがつくなんて思わなかったのかしら。こういう余裕かましてくれるところ、大好き。
もし、続編がつくられるなら、今度は日本食も登場させてほしいわ。riceはあえて“おこめ”で。関西人ならドキドキしちゃう。
あと、納豆や巻き寿司、豆腐、肥後芋茎、そしてTENGAは必須でお願いしたいわ。
MOVIE DATA
「ソーセージパーティー」(原題:Sausage Party)
■ 監督 コンラッド・ヴァーノン グレッグ・ティアナン
■ 脚本 カイル・ハンター アリエル・シェイファー セス・ローゲン ほか
■ 音楽 アラン・メンケン クリストファー・レナーツ
■ 出演(声) …… セス・ローゲン クリスティン・ウィグ ジョナ・ヒル ジェームズ・フランコ エドワード・ノートン サルマ・ハエック ほか
■ 公式HP …… http://www.bd-dvd.sonypictures.jp/sausage-party/

ソーセージ・パーティー (字幕版)
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